自己破産の手続きを進めるには?流れや費用、失敗しないための注意点を徹底解説
「借金の返済が苦しくて、夜も眠れない」「どれだけ働いても元金が減らない」といった状況に陥ったとき、国が認めた救済措置である「自己破産」は、人生を再建するための有力な選択肢となります。
しかし、「手続きが難しそう」「家族や仕事に影響が出るのでは?」という不安から、一歩踏み出せない方も多いのではないでしょうか。自己破産は正しく手続きを行えば、すべての借金の支払い義務が免除(免責)され、新しい生活をスタートさせることができます。
この記事では、自己破産の手続きの全体像から、かかる費用、メリット・デメリット、そしてスムーズに解決するための具体的な対策を詳しく解説します。
1. 自己破産の手続きには2つの種類がある
自己破産の手続きは、破産する人の財産状況によって「同時廃止」と「管財事件」の2つに分かれます。どちらになるかで、期間や費用が大きく変わります。
同時廃止(どうじはいし)
処分すべき目立った財産(家や高額な車、20万円以上の現金など)がない場合に選ばれる手続きです。破産手続きの開始と同時に終了(廃止)するため、期間が短く、費用も安く済みます。個人の自己破産の多くはこの形式です。
管財事件(かんざいじけん)
一定以上の財産がある場合や、借金の原因がギャンブルや浪費など(免責不許可事由)の疑いがある場合に行われます。裁判所が選んだ「破産管財人」が財産を調査・換価し、債権者に配分します。手続きが複雑で、裁判所に納める「引継予納金」が必要になるため、費用が高額になります。
2. 自己破産手続きの具体的な流れ
手続きの開始から免責許可(借金ゼロ)が確定するまで、一般的に半年から1年程度の期間がかかります。
弁護士・司法書士への相談: まずは専門家に現状を相談します。受任通知が債権者に送られた時点で、取り立てがストップします。
書類の準備と申立て: 住民票、通帳のコピー、家計簿、陳述書など、膨大な書類を準備し、居住地を管轄する地方裁判所に申立てを行います。
破産審尋(しんじん): 裁判官と面談し、借金の経緯や現在の状況について質問を受けます(弁護士がいれば同席可能です)。
破産手続き開始決定: 裁判所が「この人は支払不能状態にある」と判断すると、正式に手続きが始まります。
免責審尋・免責許可決定: 借金をゼロにして良いかどうかの最終確認が行われます。問題がなければ「免責許可決定」が出されます。
免責の確定: 決定から約1ヶ月後に官報に掲載され、正式に免責が確定します。これで借金の支払い義務がなくなります。
3. 手続きにかかる費用の目安
自己破産には、大きく分けて「裁判所へ支払う費用」と「専門家(弁護士・司法書士)へ支払う費用」の2種類があります。
裁判所費用: 数千円〜3万円程度(同時廃止の場合)。管財事件になると、別途予納金として20万円〜が必要になります。
弁護士・司法書士費用: 20万円〜50万円程度が相場です。
「そんなお金は払えない」という方のために、多くの事務所では分割払いに対応しています。また、収入が一定以下の場合は「法テラス」の民事法律扶助制度を利用し、費用を立て替えてもらうことも可能です。
4. 自己破産のメリットとデメリット
正しい理解を深めることで、過度な不安を取り除くことができます。
メリット
借金の支払い義務がすべてなくなる: どんなに高額な借金もゼロになります(税金などを除く)。
取り立てが即座に止まる: 専門家が介入した時点で、督促の電話や郵便がなくなります。
一定の財産は手元に残せる: 99万円以下の現金や生活必需品は没収されません。
デメリット
ブラックリストに載る: 5年〜10年程度、新規のローンやクレジットカードの作成ができなくなります。
一定の職業制限がある: 手続き期間中のみ、弁護士、警備員、保険外交員などの仕事に就けなくなります(免責確定後は復帰可能です)。
官報に掲載される: 国の発行する機関紙に名前が載りますが、一般の人が目にすることはほとんどありません。
5. 手続きを成功させるためのポイント
自己破産は「隠し事をしないこと」が何よりも大切です。
財産を隠さない: 財産を隠して処分したり、名義変更したりすると、免責が許可されないだけでなく、罪に問われる可能性があります。
誠実に回答する: 裁判所や管財人の質問には正直に答えましょう。
家計の管理を見直す: 手続き期間中の生活状況もチェックされます。二度と同じ状況に陥らないよう、収支を把握する習慣をつけましょう。
6. まとめ:新しい人生へのリスタート
自己破産は、決して「人生の終わり」ではありません。むしろ、借金に苦しむ日々から解放され、前を向いて歩き出すための「再生の第一歩」です。
手続きは複雑ですが、専門家のサポートを受けることで、心理的・事務的な負担を大幅に軽減できます。一人で悩まずに、まずは無料相談などを利用して、あなたの状況に最適な解決策を見つけてください。
経済的な再建を果たし、穏やかな日常を取り戻せる日が来ることを心より応援しています。
自己破産の手続きに関するFAQ
Q. 家族に内緒で手続きできますか?
A. 同居のご家族がいる場合、家計の状況を証明する書類(配偶者の給与明細など)が必要になるため、完全に内緒にすることは難しいケースが多いです。しかし、近所の人や職場の人に知られることは、官報をチェックされない限りまずありません。
Q. 自己破産をすると家を追い出されますか?
A. 持ち家がある場合は処分の対象となりますが、賃貸住宅であれば家賃を滞納していない限り、そのまま住み続けることができます。
Q. ギャンブルで作った借金でも免責されますか?
A. 原則としてギャンブルは「免責不許可事由」に該当しますが、反省の態度を示し、裁量免責(裁判所の判断による免除)を得られるケースが非常に多いです。諦めずに相談してみてください。